一般社団法人日本ロボットシステムインテグレータ協会「自動化業界全体の発展に寄与する多彩な取り組みを展開、 ロボットSlerへの認知度向上へ」

2018年、(一社)日本ロボット工業会(JARA)の特定事業委員会として、「FA・ロボットシステムインテグレータ協会」が発足。当初144社だった加盟企業も現在では300社を超え、認知度も徐々に向上してきた。設立から5周年を迎えた本年6月、協会はJARAから独立し、「一般社団法人 日本ロボットシステムインテグレータ協会(JARSIA)」へと組織変更した。今後はロボットメーカーとシステムインテグレータ両者の強固な連携によってロボット業界を牽引していくことであろう。

そこでJARSIAの奥山浩司副会長(HCI社長)に、23年度の取り組みと今後の展望を聞いた。

株式会社HCI 代表取締役社長 奥山 浩司氏
(一般社団法人日本ロボットシステムインテグレータ協会副会長)

ロボット Sler を若者があこがれる職業へ

―設立から 5 周年、一般社団法人として新たなスタートを切った 23 年度はどのような取り組みをされるのでしょうか。

当協会はこれまで、「ネットワークの構築」「事業基盤の強化」「専門性の高度化」の3つの柱を基に活動を行ってきました。この5年間にロボットSI検定はじめ、ロボットアイデア甲子園、新商品・サービス説明会などの各種事業を安定して開催できるようになり、会員数も年々増加し、現在では300社を超えるまでになりました。  

こうした実績を踏まえ、組織改編を機に「ロボットSlerを若者があこがれる職業へ」「SI業界の発展のみならず、自動化業界(ロボット業界)全体の発展の牽引者へ」「サイバーフィジカルシステムで、日本を世界一の自動化大国へ」という3つの目標を新たに付け加えることとしました。この目標達成へ向けて、広報・経営企画・地域連携・技術・人材育成の5つの分科会にて活動を展開し、業界の認知度をさらに高めていきます。

検定制度の海外展開とデジタル教育の充実で人材育成を支援

―SI 能力の向上に向けてどのような取り組みを推進されていますか。

当協会では、人材育成分科会が中心となり、ロボットSlerの人材育成を目的に「基礎講座」や「ロボットSI検定」を実施してきました。こうしたロボット人材教育への取り組みを、海外へ展開するために、海外訪問調査の連携先である、タイのロボット関連機関などと協力、検討を開始しております。

国内では引き続き、基礎講座、導入企業向け基礎講座、大学生向けロボットSler特別講座などを開講して人材育成に注力するとともに、新たな教育システムの導入も図っています。具体的には、現在ロボット実機を使用して実施しているロボットSI検定ですが、実機ではなく「デジタル教育機器」を用いてロボットティーチングの実習を行う、デジタル教育の検討を開始しています。現在この教育機器は富山高専をはじめ3校で活用してもらっています。実機と同様の感覚で技術を習得でき、実機による故障や事故を減らせる画期的なシステムです。

※SI検定 3 級実技試験

※デジタル教育機器操作の様子

業界の認知度向上に向けた創意工夫に溢れた取り組み

―多くの学生が参加する“ロボットアイデア甲子園”をはじめとする認知度向上活動の現状はいかがですか。

当協会の広報分科会では、20歳未満の高校生や高専生などを対象に、ロボットに興味を持ってもらうきっかけとなる取り組みとして、「ロボットアイデア甲子園」というコンテスト形式のイベントを開催しています。ロボットに関する専門的知識がなくても参加できる大会で、ロボットの見学とセミナー受講後に、ロボットの新しい使い方のアイデアを考え、発表していただきます。全国規模となり今年で4年目。地方大会はすでに終了し、1200人を超える参加者がありました。全国大会は12月2日(土)に、国際ロボット展会場で開催の予定です。他にYouTube「ロボットSlerチャンネル」にロボットSIerを題材とした動画を公開したり、SIerを知ってもらうためのマンガを作成したり、認知度向上への取り組みを行っています。

※ロボットアイデア甲子園全国大会(2022)

自動化業界全体の発展に向けて協業を促進

―今後、どのような取り組みを強化していきますか。

当協会は発足から5年間で144社だった会員数が305社まで増えました。そこで会員各社のSIerとしての能力向上に資する取り組みや、経営基盤強化につながる活動を展開していきたいと考えています。
具体的には、経営企画分科会企画の「ロボットSIer向け新商品・サービス説明会」を継続して開催します。ロボットSIに関する新製品やサービスなどの実機展示を見て検討できる絶好の機会となります。また、地域連携分科会が主となり各地域における会員同士のコミュニケーションを図るためのイベントとして、日本各地域で「SIer‘s Day」を開催しています。専門的な各種講演や勉強会、行政の情報提供などのほか、地域会員の企業紹介や交流会などが行われています。
技術分科会については、ロボットSIerの技術の標準化やスキル読本の精査などの他、技術セミナーなどを開催しています。
「SIer協会」の会員であることがステータスとなるよう『価値のある』協会づくりに注力し、会員の皆様と共に学び切磋琢磨し、ロボットシステムの活用による人手不足解消をはじめとする諸問題の解決に励みたいと思います。
当協会としては、ロボットSIerという枠にとどまらず、自動化業界全体の発展に寄与するような団体として活動を強化していく考えです。

※SI:システムインテグレーション
※SIer:システムインテグレータ